紹介したい図録はたくさんあるのですが、時間がなくてなかなか思うように掲載できません。
そういえば、日本経済新聞の書評欄の「半歩遅れの読書術」というコラムで、樺山絋一氏がこんな趣旨のことを書いておられました。
展覧会の図録は資料的にも価値の高いものが多いが、正式な書籍の扱いでないため、新刊書店は言うに及ばず古書店でもなかなか手に入らないのが惜しい−と。
氷川書房に来れば1300冊の図録が見られるのにね。
東海大学校地内遺跡調査団
「撚りと結びの考古学」
A4版13頁 2003
東海大学構内の遺跡出土品を中心に同大学文学部展示室で定期的に開かれている展覧会の図録です。
縄文時代の「縄文」についてはあえて説明の必要はないでしょう。
その「縄文」にもいろいろな種類があるのだろうな−ということは想像がつくのですが、これはそれらを体系的に、実例を見せながら紹介した、面白い図録です。
私、初めて知ったのですが、縄の撚り方にも種類があるのだそうです。
撚る指の位置でも違うし、右利きか左利きか−でも違ってくる。
ということは、子細に分析すると、縄文土器を作った(文様をつけた)人の利き手がわかる−ということだろうか?
わずか13ページですが、とっても興味深い図録です。
2007年05月26日
歴史を動かした技術
国立歴史民俗博物館
「陶磁器の文化史展」
1998 A4版213頁
陶磁器は絹・木綿とならび、日本の歴史に深く影響を与え続けた「モノ」です。
それどころか、現代風に言うならば「ハイテク商品」であり「戦略商品」であった磁器が世界の歴史に与えた影響もはかりしれない。
この図録は、あるときは重要輸入品、あるときは重要輸出品、またあるときは主従関係や強弱関係を表象する贈答品−というように、日本史という織物の縦糸のように様々な場所に顔を出しつづけてきた「陶磁器」を、様々な資料を駆使しながら紹介した、非常に面白い図録です。
ちょっと要領よくまとまりすぎて、「食い足りない」という向きもあるかもしれませんが、まあとにかく、出土陶磁器だけでなく、絵画資料など多面的な資料を紹介できるのは、さすが歴博−という図録。
日本史の縦糸の役割を果たした「モノ」としては、これも忘れるわけにいきません。
国立歴史民俗博物館
「歴史のなかの鉄炮伝来−種子島から戊辰戦争まで」
2006 A4版199頁
昨年開催された展覧会です。
鉄砲が日本の歴史に与えた影響についてあらためて述べる必要もないでしょう。
戦国時代の日本が、アジア一の「鉄砲大国」にならなかったら、朝鮮出兵もなかったかも知れないし、逆に、一斉に武器を放棄した三百年の天下泰平もなかったかも知れない。「ハイテクにっぽん」も誕生しなかったかも知れない。
この図録もまた、大変要領よくまとまっているのですが、面白いのは「火縄銃の威力はどれくらいあったの?」ということで、本物の火縄銃で、本物の具足や竹束、鉄板などを撃ってみた一章。もっとも、12.5メートルの距離から黒色火薬10グラムで十匁玉を撃ったところ1ミリ厚の鉄板を貫通した−と言われても威力があるのかないのか、素人にはよくわかりませんけどね。
「陶磁器の文化史展」
1998 A4版213頁
陶磁器は絹・木綿とならび、日本の歴史に深く影響を与え続けた「モノ」です。
それどころか、現代風に言うならば「ハイテク商品」であり「戦略商品」であった磁器が世界の歴史に与えた影響もはかりしれない。
この図録は、あるときは重要輸入品、あるときは重要輸出品、またあるときは主従関係や強弱関係を表象する贈答品−というように、日本史という織物の縦糸のように様々な場所に顔を出しつづけてきた「陶磁器」を、様々な資料を駆使しながら紹介した、非常に面白い図録です。
ちょっと要領よくまとまりすぎて、「食い足りない」という向きもあるかもしれませんが、まあとにかく、出土陶磁器だけでなく、絵画資料など多面的な資料を紹介できるのは、さすが歴博−という図録。
日本史の縦糸の役割を果たした「モノ」としては、これも忘れるわけにいきません。
国立歴史民俗博物館
「歴史のなかの鉄炮伝来−種子島から戊辰戦争まで」
2006 A4版199頁
昨年開催された展覧会です。
鉄砲が日本の歴史に与えた影響についてあらためて述べる必要もないでしょう。
戦国時代の日本が、アジア一の「鉄砲大国」にならなかったら、朝鮮出兵もなかったかも知れないし、逆に、一斉に武器を放棄した三百年の天下泰平もなかったかも知れない。「ハイテクにっぽん」も誕生しなかったかも知れない。
この図録もまた、大変要領よくまとまっているのですが、面白いのは「火縄銃の威力はどれくらいあったの?」ということで、本物の火縄銃で、本物の具足や竹束、鉄板などを撃ってみた一章。もっとも、12.5メートルの距離から黒色火薬10グラムで十匁玉を撃ったところ1ミリ厚の鉄板を貫通した−と言われても威力があるのかないのか、素人にはよくわかりませんけどね。
posted by 氷川書房 at 16:49| この図録が面白い!