広島県立歴史博物館
「遊・戯・宴−中世生活文化のひとこま展」
A4版101頁 平5
前回は中世の寺院を取り上げましたが、今回は中世の「遊び」です。
こちらもなかなか珍しいテーマで、「中世の人も遊んだの?」なんて思ってしまいますが、
「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれん」
でおなじみの梁塵秘抄は中世ですから、中世こそ遊びの本場(!)かも知れません。
連歌や聞香など上流階級の「上品な」遊びから、子供の鞠つき・独楽・羽子板、大人の双六・将棋、そして相撲のような芸能・宗教的な楽しみまで、「遊び」の世界をひととおりわかりやすく紹介してあります。
しかし、いかさま賭博用の細工したサイコロなんて、この時代からあったんだなあ・・。
2008年03月15日
温泉宿のはじめ
国立歴史民俗博物館
「中世寺院の姿とくらし展−密教・禅僧・湯屋」
A4版142頁 2002
中世寺院という、なんとも地味なテーマの展覧会です。
中世寺院を全体的に俯瞰する企画展は、恐らく、これが唯一の例ではないでしょうか。
内容もなかなかに専門的で難しいのですが、「寺院とくらし」と題して僧侶のくらしや村(荘園)のくらしのなかにおける寺院の役割などを追った一節は、私などにもわかりやすい。
特に、副題にもなっている「湯屋」。
言うまでもなく僧侶たちの入浴施設で、「身を清める」場所なわけです。
同時に、「湯」は病を治し心を癒すものであり、一般の人にも施してあげよう−というわけで(湯施行)、外部の人にも開放される例が出てきます。
やがて宿坊のようなものと一体化し、料理が出される事例もある。
なんだ、これは温泉宿じゃないか。
湯治の原型が中世寺院にあったと知ると、なにやら親しみも湧いてまいります。
「中世寺院の姿とくらし展−密教・禅僧・湯屋」
A4版142頁 2002
中世寺院という、なんとも地味なテーマの展覧会です。
中世寺院を全体的に俯瞰する企画展は、恐らく、これが唯一の例ではないでしょうか。
内容もなかなかに専門的で難しいのですが、「寺院とくらし」と題して僧侶のくらしや村(荘園)のくらしのなかにおける寺院の役割などを追った一節は、私などにもわかりやすい。
特に、副題にもなっている「湯屋」。
言うまでもなく僧侶たちの入浴施設で、「身を清める」場所なわけです。
同時に、「湯」は病を治し心を癒すものであり、一般の人にも施してあげよう−というわけで(湯施行)、外部の人にも開放される例が出てきます。
やがて宿坊のようなものと一体化し、料理が出される事例もある。
なんだ、これは温泉宿じゃないか。
湯治の原型が中世寺院にあったと知ると、なにやら親しみも湧いてまいります。
posted by 氷川書房 at 10:00| この図録が面白い!
2008年03月08日
ホントの一揆
国立歴史民俗博物館
「地鳴り 山鳴り−民衆のたたかい三〇〇年展」
A4版127頁 平12
歴史好きの方なら「夢の浮橋騒動」、ご存知だと思います。
いわゆる三方領地替え、庄内藩・川越藩・長岡藩にお国替えの内示が出る。それを知った、主に庄内藩の農民が転封反対の大一揆を起こし、ついに国替えは沙汰止みとなる一大事件。
江戸幕府の崩壊はここから始まったとみる向きもあります。
そして、一揆関係者が事件の顛末を記録した絵巻「夢の浮橋」、これがこの展覧会のメインです。
この絵巻を見ると、農民一揆といっても、飢えた貧農が筵旗押し立てて・・・という時代劇でおなじみの一揆のイメージが変わってしまいます。
絵巻の多くの場面は、密談また密談。羽織を着た決して貧しそうには見えない中年男たちが座敷で額を寄せ合ってなにやらヒソヒソと話しているのです。
これは一揆というよりも、「料亭政治」とか「ロビー活動」なんて言葉がちょうどしっくりくる感じ。
江戸も末期になると「一揆」はある種のデモンストレーション、政治の一形式のようになってくるのかもしれません。
題名からはちょっとわからないが、中身はとっても面白い図録です。
「地鳴り 山鳴り−民衆のたたかい三〇〇年展」
A4版127頁 平12
歴史好きの方なら「夢の浮橋騒動」、ご存知だと思います。
いわゆる三方領地替え、庄内藩・川越藩・長岡藩にお国替えの内示が出る。それを知った、主に庄内藩の農民が転封反対の大一揆を起こし、ついに国替えは沙汰止みとなる一大事件。
江戸幕府の崩壊はここから始まったとみる向きもあります。
そして、一揆関係者が事件の顛末を記録した絵巻「夢の浮橋」、これがこの展覧会のメインです。
この絵巻を見ると、農民一揆といっても、飢えた貧農が筵旗押し立てて・・・という時代劇でおなじみの一揆のイメージが変わってしまいます。
絵巻の多くの場面は、密談また密談。羽織を着た決して貧しそうには見えない中年男たちが座敷で額を寄せ合ってなにやらヒソヒソと話しているのです。
これは一揆というよりも、「料亭政治」とか「ロビー活動」なんて言葉がちょうどしっくりくる感じ。
江戸も末期になると「一揆」はある種のデモンストレーション、政治の一形式のようになってくるのかもしれません。
題名からはちょっとわからないが、中身はとっても面白い図録です。
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2008年03月01日
もうひとつの日本史をたどる
福岡市博物館
チャイナタウン展−もうひとつの日本史
A4版160頁 平15
横浜の中華街は、いつもすごい人出ですね。
なにがあんなに人を惹きつけるのでしょう。
そんなことを考える時に是非読みたい図録。
具体的には博多、那覇、長崎、横浜、神戸が取り上げられます。
鎖国時代、長崎オランダ商館ばかりが注目されがちですが、チャイナタウンこと唐人屋敷には最盛期五千人の中国人が暮らしていたそうです。
やはり日本の歴史のなかで「海の向こう」といえば中国だったのです。チャイナタウンの歴史をめぐることは、まさに「もうひとつの日本史」をたどることにもなるわけです。
なお、横浜中華街については
横浜開港資料館
「横浜中華街−開港から震災まで」
A4版60頁 平6
もあります。
チャイナタウン展−もうひとつの日本史
A4版160頁 平15
横浜の中華街は、いつもすごい人出ですね。
なにがあんなに人を惹きつけるのでしょう。
そんなことを考える時に是非読みたい図録。
具体的には博多、那覇、長崎、横浜、神戸が取り上げられます。
鎖国時代、長崎オランダ商館ばかりが注目されがちですが、チャイナタウンこと唐人屋敷には最盛期五千人の中国人が暮らしていたそうです。
やはり日本の歴史のなかで「海の向こう」といえば中国だったのです。チャイナタウンの歴史をめぐることは、まさに「もうひとつの日本史」をたどることにもなるわけです。
なお、横浜中華街については
横浜開港資料館
「横浜中華街−開港から震災まで」
A4版60頁 平6
もあります。
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