姫路市立美術館
「美術と戦争」
A4版103頁 2002
先日、桜本富雄著「日本文学報国会−大東亜戦争下の文学者たち」という本を読みました。
文学者の戦争協力を徹底的に調べた力作で、かなり厳しい調子でその戦争責任を追及していきます。
まったく戦争に協力しなかったのは永井荷風くらい−とのこと。
荷風は資産家だから、戦争中まったく執筆活動をしなくとも食べていけたからなあ。食べていくためにある程度時流に乗るのはやむえないのではないか−と甘っちょろく思うのは、私が戦争を知らない世代だからでしょうか?
戦争、とりわけ20世紀の「総力戦」と芸術家の関わりは、つい最近まで当事者たちが存命だったこともあり、これから客観的な研究が進んでいく分野なのでしょう。
この「美術と戦争」展は、このテーマを扱った数少ない展覧会のひとつだと思う。
まあ、内容は日露戦争から浜田知明「初年兵哀歌」まで、かなりかいつまんで要領よくまとめた感じですが、巻末の資料「1935年−45年の美術界概観」と「関連年表」は基礎資料として貴重です。