大阪人権博物館
「髪の身分史」
A4版90頁 1999
題名からして面白そうでしょう?
大坂人権博物館の図録は、どれもテーマは面白いのですが、内容がいささか専門的で難しいのがチョットね・・・
いや、生意気なことを申しました。
とはいえ、面白いエピソードが目白押しです。
たとえば
外出中に烏帽子を忘れたことに気付き、顔面蒼白で家に駆け戻る中世武士。
髪を露出することがそれほどまでに恥ずかしかったのですね。
また、江戸時代には月代を剃らない頭は、囚人や被差別民を連想させる負のイメージであったこと。
たしかに謹慎の罰を受けた武士は月代を伸ばし放題にしています。
また、時代劇に出てくる落ちぶれ浪人も月代が伸びているのがお決まりのスタイルです。
でも、幕末には月代を剃らない髪形が多いですよね。
坂本龍馬の写真、近藤勇の写真−みな総髪(というのかな?)です。
時代とともに、月代は「旧弊」のイメージに変わっていったのか?
あるいは外国人の手前、「恥ずかしい」という感情が生じてきたのか?
とにかく面白いテーマですよ!
2008年09月20日
弥生のイヌふたたび
大阪府立弥生文化博物館
「卑弥呼の動物ランド−よみがえった弥生犬」
A4版107頁 1996
だいぶ以前になりますが、このブログの「縄文人と鳥」という項で、縄文時代には狩猟の友として大事にされていたイヌが、弥生時代には食用とされたことを紹介し、「かわいそう」「気持ち悪い」と弥生人を非難いたしました。
が、私が間違っていたことがこの図録により判明いたしました。
これは弥生時代の動物事情を紹介した非常に興味深い図録です。
ここでは、1980年に大坂・亀井遺跡から出土した牝イヌの完全骨格から、その姿を復元しています。
現在の四国犬にそっくりというそのイヌをはじめ、弥生時代にも丁重に葬られたイヌの出土例はあるそうです。
もちろん縄文遺跡からは埋葬されたイヌが200例以上出土しているのに対し、数は少ないようですから、食用にされたイヌもたくさんいた事実に変わりはありませんけれど・・・
それにしても、弥生人の皆様には、私の発言に配慮に欠ける部分もございましたことを深くお詫び申し上げます。
「卑弥呼の動物ランド−よみがえった弥生犬」
A4版107頁 1996
だいぶ以前になりますが、このブログの「縄文人と鳥」という項で、縄文時代には狩猟の友として大事にされていたイヌが、弥生時代には食用とされたことを紹介し、「かわいそう」「気持ち悪い」と弥生人を非難いたしました。
が、私が間違っていたことがこの図録により判明いたしました。
これは弥生時代の動物事情を紹介した非常に興味深い図録です。
ここでは、1980年に大坂・亀井遺跡から出土した牝イヌの完全骨格から、その姿を復元しています。
現在の四国犬にそっくりというそのイヌをはじめ、弥生時代にも丁重に葬られたイヌの出土例はあるそうです。
もちろん縄文遺跡からは埋葬されたイヌが200例以上出土しているのに対し、数は少ないようですから、食用にされたイヌもたくさんいた事実に変わりはありませんけれど・・・
それにしても、弥生人の皆様には、私の発言に配慮に欠ける部分もございましたことを深くお詫び申し上げます。
posted by 氷川書房 at 12:00| この図録が面白い!
2008年09月13日
永井荷風の株取引
江戸東京博物館
「永井荷風と東京」
A4版219頁 1999
前回ちょっと話題に上がった永井荷風の展覧会図録。
現在のところ、これが決定版というべきでしょう。
やっぱりと言うべきか−この図録はなかなか手に入りません。
荷風ファンは多いですからね。
荷風は、その生涯や作品の書誌のみならず、「断腸亭日乗」に綴られた社会批評、さらには行きつけの飲食店で何を食べ、何を着ていたかまで、細部にわたって紹介され尽くした感があります。
それは「元祖散歩者」「高等遊民」さらには「エロじじい」、さまざまに呼ばれるその生き方が、80年代後半あたりから現在にいたる社会思潮にマッチしたからなのでしょう。
社会が荷風に追いついた−というべきか。
ですから、この図録も良くまとまった「集大成」という感じです。
私は、前回も少し触れましたが、荷風が資産家であったことは、その文学の非常に重要な要素だと思うのですが、この図録には几帳面な文字で書かれた「株式取引台帳」の写真が載っています。
どんな銘柄を買っていたのかな。
「麦酒」というのはアサヒですか?
「三井化学」。「日粉」は日清製粉ですか?
まあ、そんなこと知っても仕方ないですが。
「永井荷風と東京」
A4版219頁 1999
前回ちょっと話題に上がった永井荷風の展覧会図録。
現在のところ、これが決定版というべきでしょう。
やっぱりと言うべきか−この図録はなかなか手に入りません。
荷風ファンは多いですからね。
荷風は、その生涯や作品の書誌のみならず、「断腸亭日乗」に綴られた社会批評、さらには行きつけの飲食店で何を食べ、何を着ていたかまで、細部にわたって紹介され尽くした感があります。
それは「元祖散歩者」「高等遊民」さらには「エロじじい」、さまざまに呼ばれるその生き方が、80年代後半あたりから現在にいたる社会思潮にマッチしたからなのでしょう。
社会が荷風に追いついた−というべきか。
ですから、この図録も良くまとまった「集大成」という感じです。
私は、前回も少し触れましたが、荷風が資産家であったことは、その文学の非常に重要な要素だと思うのですが、この図録には几帳面な文字で書かれた「株式取引台帳」の写真が載っています。
どんな銘柄を買っていたのかな。
「麦酒」というのはアサヒですか?
「三井化学」。「日粉」は日清製粉ですか?
まあ、そんなこと知っても仕方ないですが。
posted by 氷川書房 at 14:19| この図録が面白い!