2009年11月29日

聖と賤の不思議

36703.jpg大阪人権歴史資料館
「猿の文化史」
B5版74頁 1992



このブログの筆者は動物好きで、イヌ、鳥、馬、鹿に続いて猿の登場です。
猿は現代人、少なくとも平野部に暮らす現代日本人には、縁遠い感じですが、昔はもっと身近な存在だったのでしょう。
この図録によると、狩人たちの間では「猿を撃つと産子にたたる」「火事になる」という言い伝えがあったとか。
やはり人間に一番近い動物として、何か特別な感じがあったのでしょうね。
それゆえ、山王信仰や庚申信仰でよく知られているように、神の使いとして大切にされてきたのです。
聖なる存在である猿が、祝い事の席で舞う−これが「猿回し」の起源だそうです。
ところが江戸時代には、関東では猿飼が非人頭弾左衛門の支配とされ、賤民とされてしまう。
前にも書きましたが、「聖」と「賤」が裏表という現象がここにもあるようです。
posted by 氷川書房 at 14:40| この図録が面白い!
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