横浜開港資料館
「日本の赤煉瓦展」
B5版71頁 昭60
クラシックな建物を「赤レンガ」って呼ぶこと、多いです。
その町その町に「赤レンガ」がある。
札幌で「赤レンガ」といえば北海道庁本館。
大阪なら中之島の公会堂。
東京ならやっぱり東京駅かな?
よく見るとレンガじゃなくてテラコッタタイルだったりするのですが、それもこれも、ひとっ括りに「赤レンガ」。
明治の頃に忽然と登場した近代建築、当時の人から見たら巨大で、ズッシリしてて、強烈な印象だったのではないかしら?
その表面を覆っていた「赤レンガ」が日本人の心に深く焼き付いたのでしょうね。
日本の近代化に強烈な存在感を放っていながら、赤レンガの研究書ってあんまり見ない。
展覧会も、この横浜開港資料館が唯一ではないかしら?
それゆえ資料的価値もとっても高くてなかなか手に入らないのがこの図録です。
圧巻は、約100種類ものレンガに押された刻印の画像。
製造所を示すマークや略字なんですが、こんなに多種多様なレンガが日本各地で製造されていたとは知りませんでした。
意外だったのは、赤レンガって、はじめは瓦職人が作っていた−という事実。
今でも埼玉県深谷市には「ホフマン窯」という西洋式のレンガ製造設備が残っているように、レンガ製造って日本の伝統技術とは関係なく、ヨーロッパからポンッと輸入されたものだとばっかり思っていた。
でも、実際は、江戸時代の職人技と繋がっていたんだな−−そんなことを知るだけでもとっても楽しくて為になる図録でした。
追記