2009年01月24日

広告の裏

32649.jpg 神奈川県立金沢文庫
「紙背文書の世界」
B5版63頁 平6



紙背文書とは何か。
この図録ではこう解説しています。
「押入れにいれたままの箱に、子供たちの落書きの絵があり、その裏に広告が印刷されていたとしよう」
ありますね、こういう状況。
こういう例えを出してもらうと、「紙背文書」の意味がすぐわかる。
こうした場合、たいがいは広告の方に見入ってしまう。
「へえー、こんなのがこんな値段だったんだねえ。
このモデルさん、×××だよね。若いねえ・・」
という具合である。

むかしは紙が貴重品だったから、手紙などの裏を再利用する。
お寺では写経に使う。
金沢文庫の紙背文書は、おおくは称名寺で再利用されたもの。
国立歴史民俗博物館に行くと東大寺で再利用された紙背文書のホンモノを見ることができる。
いまになってみれば、お経はあんまり大事でなくて、裏の広告の方が大事なわけだ。

さらに面白いのは、再利用しようとする紙が皺だらけになっている場合。
皺をのばすため、何枚も重ねて霧吹きをする。そして上から重しをしておく。
そのため、上下の手紙の文面も移ってしまうことがある。
一枚で三度おいしいわけだ。

というわけで、こんな話が満載の面白い図録です。


posted by 氷川書房 at 16:29| この図録が面白い!
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