2007年01月27日

私年号のこと

足立区立郷土博物館
「平安から戦国の足立郡」
2003 A4版71頁

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題名は平凡(失礼!)ですが、「私年号」について一章を立てているのは企画展図録としては珍しいし、内容も興味深いです。
「私年号」は、朝廷が改元したわけででもないのに、どっかの誰かが勝手に新しい年号を制定してしまうことです。

なんとなしに「異次元」的というか「異世界」的な興味を引くテーマゆえか、「日本私年号の研究」なんて本の古書価はかなり高いことで知られています。
本図録によれば、私年号の中には、実在したのかどうか、また、実際に通用したかどうか疑わしいものが多いようですが、「15世紀後半以降になると関東を中心に東国から東北にわたる広範囲に通用した私年号が出現する」そうです。
やはり中世までの東国は「別世界」だったんですかね。
しかし実際には「京都で改元が行われた」と信じられて通用していた私年号もあるそうなので、いまひとつ「西国的権威」から離れられない「西国コンプレックス」も一方では強かったのか−などと考えてしまいます。

さて、実際の通用例では「弥勒」なんてのがあります。なかなか良いですね。救いのない殺伐とした事件が頻発する現代にピッタリじゃないですか?
posted by 氷川書房 at 12:32| この図録が面白い!
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