「日本の赤煉瓦 1854-1923」
昭60 B5版71頁

この図録は珍しい。なかなか手に入りません。
街角の近代建築を「赤レンガ」などと呼ぶことが多いですね。
以前、勤務先が日比谷公会堂(市政会館)の中にありました。
会社の人たちは、外部の人に道案内をするとき、「○○交差点の角の赤レンガの建物」と言っていました。
実際には、日比谷公会堂は昭和初期の建築で、耐震性に問題のある煉瓦造の時代はすでに終わり、鉄筋コンクリートにタイル貼りなのに。
古い建物はなんでも「赤レンガ」なのです。
「赤レンガ」の印象は、それほどに強烈、ということだと思います。
でも、その赤煉瓦が、誰に、どのように作られたかなど、考えたこともありませんでした。
「西洋数千年の煉瓦の歴史を、僅か五、六十年に圧縮して体験した日本」を詳説した非常に面白い企画展です。
圧巻は「赤煉瓦刻印聚覧」と題して、98種類の製造元刻印を写真付きで紹介した一章。
わが葛飾区の東京拘置所こと「小菅集治監」も煉瓦製造の一大拠点として、明治初期の西洋建築を支えたのですね。