2007年01月30日

風刺はあやうい針

埼玉県立近代美術館
「ニッポンの風刺」
1993 A4版152頁

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ポンチ絵画家でもあった小林清親、本多錦吉郎、田口米作、北沢楽天、下川凹天、小野佐世男、そして「東京ポンチ」や「滑稽新聞」など、明治以降戦前までのポンチ絵、風刺漫画200点以上を集めた図録。
風刺の毒は小気味良いものですが、戦時中には総力戦の一翼を担わされるている作品を見ると、何とも言えず悲しくなってきます。
「抵抗」ではなく、「反骨」とも少し違う、斜に構えた「冷笑」の限界をそこに見るからでしょうか?

「風刺はあやうい針だ。急所をうまくつけば、のちのちまでも警鐘の範として輝くが、まとをはずせば、毒は自身の体内にめぐってくる。かつて笑いをうながした絵も、時を経てみれば、逆に失笑を買うこともある」−解説の丹尾安典氏はこう述べています。
posted by 氷川書房 at 18:52| この図録が面白い!
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